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2011のわたくしごと


バランス?なアンバランス

 なにやかやと忙しい日々が続いております。サイト更新のエネルギーが足りず、滞ったまま4ヶ月。たびたび訪れてくださっている方々にはまったくもって申し訳ないことです。ここまでに触ったもの、少しばかりご報告を。

 カプリースはRCAの可変出力(プリアンプ機能)と、XLRのバランス出力を持っているのですが、RCAのほうの送り出しに使われているのはパラレル接続で動作するOPA2134。そんなに高級なものではありませんが、これでもPD-F25A改のアナログ出力で聴くよりもいい音が聴けます。しかしオールFETディスクリートOPアンプによるI/Vアンプから直に出力されるXLRのほうがずっといいのは言うまでもありません。
 このXLR出力、差動の片側だけ取り出す使い方も可能で、同社のパワーアンプ、セレナーテに繋いで使う場合は、ピンの1番(GND)2番(HOT)間から取り出した信号をRCAで入力することが推奨されています(3番はNC)。ということは、ちょっと特殊なケーブルが必要です。フィデリックスで作ってもらえるモガミ2803を使ったものが最高とは思いますが、ここはひとまずもっと安価に自作といきましょう。

 使ったケーブルはゴッサムのGAC-4/1という4芯シールドケーブルです。実は初め、さらに安価なモガミ2534でも試して好結果を得たのですが、こちらのほうがより肌理の細かい音がするように思います。
 RCAで繋ぐのですから、こういうバランス用のケーブルは必要ないのですが、ちょっとアイディアがありまして。こうしたことができるのも自作ならではですし。

 で、その「アイディア」です。
 差動のHOT側だけ使うと、当然ながらHOT側のI/Vアンプだけが仕事をすることになります。COLD側アンプが遊んでいるのはちょっと勿体ない気がします。しかしこれは気分だけのことではなくて、COLD側も逆位相でちゃんと働けば、互いの動作電流がキャンセルし合い、アンプが相互にシャントレギュレーターとして作用することとなり、電源変動が皆無となる…フィデリックスのパワーアンプLB-4の「純A級リアルタイムBTL」がそもそもそんな思想で作られていました。
 というわけで、カプリースのI/Vにもそれをさせてやろうと。もっともパワーアンプと違って動作電流も僅かですから、実際にはたいして意味はないかもしれません。やっぱり気分だけかも?ま、それでもいいです、理屈優先で行きます(^^;。

 XLR出力からの接続では、接続された機器の入力インピーダンスがI/Vアンプの負荷となる訳ですが、もともとHOT側には内蔵プリアンプ部のVR10kΩが負荷されています。もしやCOLD側にもこれとバランスを取るためのダミー負荷が入れられていはしまいかと中川さんに尋ねたところ、特に入れてないということでしたので、XLRコネクターのほうでGND-COLD間に10kΩを仕込みます。これでカプリース本体(に近いところ)で概ね負荷のバランスが取れたつもり。

 なにしろ理屈優先ですから、負荷としてのケーブルの容量やインダクタンスについてもバランスを取りたいので、RCAプラグのところまでちゃんとバランスで引きます。RCAプラグ側には当然COLDのラインを繋ぐ電極はありませんが、終端は20kΩでGNDに接続。私はカプリースの出力つまりHOT側を20kΩのボリウムで受けているので、これでケーブルと接続される負荷を含めて、HOT側COLD側のバランス取りはほぼ完璧(?)、と。

 出てきた音は繊細でしかも力強い、自然さが濃く感じられるもので、もう文句なくいい音でしたが、はたしてこの「負荷の対称化」がどの程度音質に貢献したかについては…不明です。





秘宝投入

 スピーカーのネットワークを少しいじりました。定数はほぼそのままで、パーツの大幅変更です。

 

 基板のまん中に鎮座するのは、今では滅多に見かけないネジ留め式大型スチロールコンデンサーです。こちらのブログの記事
http://blogs.yahoo.co.jp/milonhit/18803428.html
http://blogs.yahoo.co.jp/milonhit/19023589.html
http://blogs.yahoo.co.jp/milonhit/19709601.html
に刺激されて、秘蔵していた0.131uFを投入。もともとプリのカップリングに使うつもりで入手していたものですが、K式は今やカップリングコンデンサーレスが標準となってしまったので、たぶんもうこれをカップリングに使うことはなかろうと。
 ついでにV2Aは引退させて、他のCはポリプロピレンとしました。高域はBンテックさんで安売りされていたASCの2.0uF。実測2.1uFほどだったので、スチコンとパラでほぼ2.2uFと以前と同じです。中域の10uFはK神無線のお勧めでもあったのとサイズがちょうど良かったことから、JantzenのCROSS-CAPを採用。写真に見える0.5mHのFOSTEXのコイルも、この後もう少し径が大きいJantzenの0.47mHに換えています。

 はたして、出て来た音は期待を裏切らない鮮かさでした。繊細さ、明瞭度が数段アップし、とてもニュートラルな印象。ただ、ちょっとだけ硬い感じもあります。これは価格的に中域のCROSS-CAPが怪しそう。そこで、ここにも0.018uFのスチコンをパラってみたところ、あら不思議、文句の無いしなやかな音が得られました。

 スチコンは箔の銀色が見える透明な姿もきれいですから、見た目でもなんとなく満足感がありますね(^^)。


2011.5


自作趣味の妨げ?

 買ってしまうと手持ちのPCM1794やTDA1541Aが永遠に死蔵品となってしまう恐れが…と思いつつも、やっぱり欲しい…と5月に発注して、やっと12月に届きましたよ、FIDELIX初のDAC、CAPRICE。昨年買ったオーディオ機器のうちでいちばん高かった。(けれど、よく考えてみたら他に“機器”は買ってない…)

 出荷が始まったのが10月でしたが、早くに発注していたのに12月になってもまだ来ない…と思っていたら、連絡あり。「残念ながらフォノEQの音質が、DACと同居させたせいで当初想定していたレベルに達しなかった」と。
 もとよりアナログ派の私のことゆえ、頼んでいたのはフォノ仕様。CDの音はPD-F25A改でそこそこ満足していたので、CAPRICEについてはオプションのフォノEQのほうに期待する気持ちが強かったのです。
 中川さんからは、(1)フォノは今後進展があったときまた考えることにして、ひとまず標準仕様かI2S仕様に変更する、(2)フォノのオプション代金を半額にする …という提案をいただきました。いずれI2S出力付きのトランスポートを出す計画があるとの情報もあってI2S仕様にも興味が湧いてきていたところだったので、1日悩み、「I2Sはtetsu氏なら受信基板を購入して自分で組み込むのが安上がり、またフォノEQはオールFETディスクリートOPアンプで自分で作れる」との追伸にも背中を押され、じゃあそれでいこうか、と、結局(1)の標準仕様に落ち着きました。

 ということで、フォノEQはいずれFIDELIXのオペアンプで自分で組むことになるでしょう。I2Sインターフェースの組み込みというテーマもできた。してみると、CAPRICEのせいで自作テーマが減りっぱなし、ということにもならずに済んだようで。





アナログの灯、いよいよ消えず

 CAPRICEの音は実に満足できるものでした。でも、アナログレコードが要らなくなるということはなくて、CDがよい音で聴けるようになって却ってアナログの良さを感じるようになったような気もします。刺激されて、レコードの再生環境にも何かしたくなってしまいました。

 で、気になっていたターンテーブルシート。
 長らくK式標準のAT666非吸着を常用してきた訳ですが、バランスのよい音が聴けるものの、これをベストとするのは理屈としてもうひとつ納得できないところがあるなあ、という思いがありました。非吸着状態では、盤の音溝が刻まれている部分は、プレート本体のジュラルミンの平面から浮いているはず。内周と外周に配されたゴムのパッキンで支持されたレコード盤というのは、はたして本当にカートリッジが音をピックアップするのに最適な状態にあるのか? 正直、実際に使っていても、レコード盤が若干余計にダンプされているのでは?という疑いが頭をもたげることが…やはり音溝の部分を面でリジッドに支えるべきでは?

 というわけで、これを試しました。

 プラッター上、黒いですが、レコード盤ではなくてオーディオテクニカのターンテーブルシートAT6288です。2年ほど前の発売ですからご存知の方も多いでしょう。ポリカーボネートとハネナイトでアルミプレートをサンドイッチした(だけの(爆))ものです。
 前々から目をつけてはいたのですが、メジャーなメーカーの製品としてはずいぶんシンプルな造りだけど、その割には定価が立派すぎやしないか…という気がして二の足を踏んでいました。が、 サウンドパーツさんが昨年出した漆塗りプラッターのプレーヤーを見て購入を決意(プレーヤーじゃなくてシートのほう)。盤面に接するところはやっぱり金属より樹脂かな、と。Webで定価の2/3くらいの値段で買えるところを見つけたので、そちらで購入しました。

 で、聴いてみると、おっ、イイ! シートとしてはハード系といえるでしょうが、響きが金属的になることなく情報量が増えるあたり、やはり接触面が樹脂製であることのメリットでしょう。演奏のニュアンスがよく出てくれます。やっぱりAT666のパッキンに吸い取られていた音があったと考えざるを得ないな…
 低音はもっとガッチリするのかと思ったのですが、そんな極端なことにはならず、しかし深いところまで見通しがよくなりました。なんとなく思っていたよりは、もっと低い帯域に効果が現れたよう。

 というわけで、音には大いに満足したのですが、困ったこともひとつ。反った盤に対応できなくなりました。特にパラボラ状になった凸面がシートに接する向きだと、盤がグラグラと安定しない(逆向きは安定するものの音質は芳しくない)。AT666だったら柔軟なパッキンがフィットして支えてくれるので、少々の反りならさして問題なく再生できたのですが。

 ということで、失ったものもなくはないけれど、ここは音を取ってAT6288を常用することとします。スタビライザーの併用が推奨されているので、追々検討していくつもり。CAPRICEがやって来て、もはやCDに追い越されたかとも思えたアナログですが、また巻き返しています…というか、ある意味似たような音になってきているような気も(^^)。


2011.1


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