小さい頃から、ラジオのような音の出る機器に興味がありました。生まれてすぐから「きしゃぽっぽ」とか「めだかのがっこう」などの童謡のEPレコードを聞かされて育ったせいもあるのでしょうか。
中高生の頃はよく本屋でオーディオ雑誌を立ち読みしていました。中学の頃買った「初歩のラジオ」には、6GA4とかKT88のシングルアンプの自作記事が載っていて、「すっきりしたいい音云々」なんていう記述を読んで、もちろん自分で作れはしませんから、もうただただひたすら想像を膨らませていたのでした。
ラジオやラジカセで中学時代、高校時代を送り、大学時代、初めてちゃんとした(?)オーディオ装置を買いました。TRIOのカセットデッキです。趣味の合う先輩の音楽ソースをコピーさせてもらい、ヘッドホンで一生懸命聴いていましたね。下宿の部屋はちょー狭くてスピーカーやプレーヤーは置くところがなく、ほんとうにカセットだけでした。でもそのぶん、あの頃のほうが今よりちゃんと音楽を聴いていたとも思います。
その後、いよいよかねて思いを募らせた自作に踏み出します。とりあえずクリスキットのミニプリアンプとパワーアンプのキットを買って組み立てました。スピーカーは“名器”と言われている割に安かったダイヤトーンP610DBを、米松単板のかなりあやしい自作箱に入れました。
もちろんそれで満足してはいません。でも満足していない割には楽しかったな。クリスキットのカップリングコンデンサーをもっと高級そうなものに換えたり、P610のために平面バッフルを作り直したりして遊びましたが、憧れの真空管に手を出すことになるまでにそう時間はかかりませんでした。6B4Gのシングルを、渡辺直樹さんの回路などを参考にしながら、見様見真似で組んでみました。
プレーヤーはしばらく様子見を続けていましたが、そのうちガラード#401をMJの売買欄で手に入れました。が、これはハズレ。スピンドルにガタがある代物で、ときどき局部的に油膜切れを起こし、回転がひっかかって安定しませんでした。ずいぶんがっかりしたものです。
なんて、歴史を書いていてもしょうがないのですが、そんなような私のオーディオ事始めでありました。以後、月日は流れても相変わらずちびちびと何かしらいじっています。基本的には、ほんとうに満足できそうなものにしかお金を使いたくないというシミッタレ的方針でやっていますので、あまり目まぐるしい変化はありませんが、かえって飽きもせず、シコシコ続けられているのでしょう。
親しくしていた同僚が転勤したのを機会に、愚痴メールでも交換しあおうぜ、ということで始めたインターネットでしたが、思ったより重宝しています。
メールを交換する程度の使い方しかしないかと思ったら、趣味のオーディオひとつ取っても、かなりいろいろな情報が手に入ります。海外からパーツを購入するなど、以前には思いもしなかったことが可能になってしまいました。おかげで要らない買い物をさせられたこともありますが、これなくしては手に入らないものも現実に自分のものになったりすると、やっぱりインターネットはやるべくしてやることになったのであろうなあ、などと思っております。
そしてついに「自分でもサイトを作ってみよう」などと思うようになってしまいました。金田式アンプに手を出しながらも、ヴィンテージオーディオが気になる、といった節操のない思いでふらふらしておりますから、DCアンプを前面に出すのは私のブンではないのではありますが、近くにはあまり見せびらかすべき同好の士もいないので、いっそネットで、というわけです。いくらかでも面白がっていただければ嬉しいです。
2001.7