オーディオに関する何かを検索していると、宮ア克己という人の文章に出会すことがときどきあります。昔ステサンの編集者だった方だそうで。先日も何だったか検索していて…あ、そうそう、GT5000のターンテーブルの回転が寒冷時に規定回転数に達しない件についてwebで見ていたんだった。それでウロウロしているうち、氏のこんな文章に行き当たりました。
http://audiosharing.com/blog/?p=31415
この話題は現時点で「その8」まで続いていて、興味を持たれた方は「アナログディスク再生」のカテゴリーで続きのエントリーも読んでいただくのがよろしいかと思いますが、要は「片持ち構造」が音質上有害だという話です。
トーンアームにはそんな要素が多々備わっています。特に気になるのはアームリフターのレバーやらインサイドフォースキャンセラーやらアームレストやらのアームポストから突き出ている付加機能部品たちで、そういったものが共振して音を濁すというのは私としても重々承知な話なのですが、インサイドフォースキャンセラーも「使う派」でしたし、アームリフターやアームレストを取り外してしまうとかは、音のためとはいえどあまりに実用性が犠牲になってしまうので、これまで自分で実際にその手の対策を取ってみたことはありません。
しかし今回この文章を読んでちょっとしたことを思いつきました。「片持ち」というワードでピンとくるものがあったんですな。
現用中の0 SideForceは、インサイドフォースキャンセラーは付いていませんが、やはりアームリフターとアームレストを保持するための部材がまさしく片持ち状態でアームポストに取り付けられています。この部材はガッチリしたステンレス製で、片持ちでも演奏中に触って振動を感じるようなことは全くないのですが、宙に浮いている先っぽのほうを、プレーヤーボードとの間に弦楽器の魂柱みたいに柱になるものを挟み込んで支えてやれば、片持ち状態は解消され結果として何かしらの音質的メリットが得られるかもしれんぞ、と。つまり「両持ち」にしてしまおう、という訳ですね。
さて、柱にするのに何かいいものはないだろか…と一休さんモード、「ポク、ポク、ポク、ポク、チーン」閃いたぜ!、これ、使えるんじゃ?
部品箱から拾い出した2種類の基板サポート。これらを組み合わせるだけで、ネジで伸縮可能な柱の出来上がりです。実にお手軽、我ながらナイスアイディア、自画自賛。早速我がプレーヤーシステムに装着してみるとしましょう。
ネジで適度に突っ張らせることができるので、簡単にいい感じに装着できました。別のカートリッジのためにアームの高さを変えても、数mmの範囲ならこのまま対応可能でしょう。さて、音はどうかな、気のせい程度の効果はあるかも。
なんてことを思いつつレコードをかけてみると、鳴り出した瞬間はなんだか音が大人しくなった感じ。そしてすぐにものすごく情報量が増しているのが聞こえてきて驚くことに。
付帯音が取り払われて埋もれていた微細なニュアンスが掘り起こされたおかげで音楽の伝わり方が変わったようです。今まで何気なく聞き流してしまっていたフレーズに、あ、こんな演奏をしていたのか、と認識を新たにする、というようなことが度々起こります。気のせいどころじゃない、ここまでの効果があろうとは。コスパ最高、大成功♪^^
ところで、実は「片持ち」がらみではないのですが、他にもこのアーム周りで似たような経験をしていました。
上の写真で、アームベースの基部に黒くて丸い大きなワッシャのようなプレートが敷かれているのが見えますが、これはドライカーボン製の特注品です。当初は純正品の、SME用の小判形の穴が隠せそうな形状をした、いかにも頑丈なステンレス製のベースプレートを入れていましたが、それがかなりぶ厚くて、アームベースをボードに締め付けるナットのネジが噛み合う部分がギリギリで心細かったので、もう少し薄いものにしてネジの噛み代を増やそうと、ドライカーボンで色々なオーディオアクセサリーを製作している方に作っていただきました。
気にしていたのは厚みのことが第一で、材質については、カーボンなら音にもいいかもね、という程度の認識だったのですが、いざベースプレートをこれに替えたところ、雑味が消えて音の細部がスッキリ見通せるようになることに驚きました。どうもこれはオリジナルの分厚いステンレスプレートが振動を蓄えて(?)音を濁らせていたのではなかろうか。尤も、プレーヤーのボードに使っている柔らかいパイン材との相性のせいもあったのかもしれません。硬い金属質のボードとの組み合わせだったら結果は違っていたのかも。ともあれ、触っても感じられないほどの極く微細な共振でも音質に大きく影響するということでしょう。まあカートリッジのネジでも音が変わるのですから、何を今更と言われそうですが。
というわけで、お金をかけずに音がよくなって気をよくしているところですが、そろそろ涼しくなってきたので停滞していたオーディオ工作もぼちぼちと進行再開しております。ひとつ作業をしては出来栄えを眺めつつ次どうしようか考える、といった調子でなかなかペースが上がりませんが、まあ楽しみながらじっくりのんびりやることにします。
2021. 9
いつの間にか今年になってもう半年が過ぎようとしています。なんと早いこと。実は今、2つのプロジェクト---私としてはしばらくぶりの、そこそこ本気モードのオーディオ工作---が進行中です。と言うか、正確には進行の途中で停止している状態なんですが。
2件ともスタートは昨年の終わり頃でした。その頃親知らずを抜歯し、詳細は省きますがそれでちょっとした問題が発生して、なかなか治癒せず治療が長引いてしまったこと、そのうち年度末から新年度の始まりにかけて仕事が忙しくなったことなどがあって、これらの工作の進行は当初より牛歩戦術ペースでした。ゴールデンウィークには一気に進められるだろうと思っていたのですが、変な風邪をひいたのか(コロナじゃないと思うけど)予期せぬ下痢に襲われ、そればかりか関節が緩んだような嫌なだるさを感じながら生活していたら、なんと持病の椎間板ヘルニアまで再発してしまい、もう工作どころじゃない散々な日々を過ごす羽目に。
最近ようやく回復してきたのですが、今月はというと休日ごとに地域や仕事関係のイベントが入っていて、これらの工作については相変わらずなかなか進行させられない状況が続いています。今月末あたりからはある程度自由になる時間ができそうですが、気温が高くなってくる時期ゆえ、これがまた進行を妨げる要因になりそうです。汗ばんだ手でのオーディオ工作はあんまり気が進まないなあなどと思ってしまうので。まあ焦らず進めて行こうかと思っています。
さて、その2件の工作の中身ですが、ひとつは「セレクター付きアッテネーター」、いわゆるパッシブプリです。いずれ作りたいと思っていながら、具体的な計画が固まることなく長い時が過ぎていたのが、昨年登場したFIDELIXのTruPhaseに刺激され、ここへ来て急に作りたい気分が盛り上がってしまったのでした。
そしてもうひとつが「プレーヤーをもう一台」計画。今どきだと、単に「プレーヤー」ではアナログレコード用とは認識してくれない人もいるのかな?でもここを覗いてくださるような方々に注釈は不要でしょうね。ヤフオクのアラートで網を張って気長に待っていたレアもののフォノモーターがやっと出品されたのを入手でき、ようやく計画始動の運びとなった次第。
そんなこんなで、2件とも完成は当初想定していたよりもだいぶ先のことになる感じです。もちろんうまく行ったあかつきには「できるかな」の新コンテンツになる予定。
ところで、私にとってショッキングなニュースが。このページを書くのに使っているBracketsが今年9月でサポート終了なんですと。発表は3月頃にあったようなのですが、私はつい半月ほど前に知りました。3年前に結構苦労してこの新環境に移行したのに、アドビにはいつもこうして突き放される…GoLiveのときと一緒やん(嘆)。
そんな訳で、またもやweb編集環境難民になってしまうのか、と思ったのですが、代替にVisual Studio Codeというマイクロソフトが出している同種のフリーソフトが推奨されていました。アドビはマイクロソフトとパートナー関係にあって云々…だそう。
ふーん、そうなんや、といくらか安心し、早速ダウンロードして使ってみたのですが、なるほど似てはいますね。まあ基本的にはエディタなので当然か。しかし、やっぱり微妙な使い勝手がいろいろ違うし、Bracketsで気に入っていたちょっとした便利機能が備わっていなかったり、どうもバグっぽい動きをすることも。うーん…
ということで、ちょっとモヤモヤ感が残りますが、まあBracketsを使い続けていても差し当たり支障はないでしょうし、今すぐ慌てて乗り換える必要もないんですよね。当面併用して様子を観ていくとしましょう。Visual Studio Codeにカスタマイズの余地もあるようですし、使っているうちにもっと馴染んでいけるのかもしれません。それよりこのサイトの更新頻度≒エディタの使用頻度が少ないのがむしろ問題か(爆)。
2021. 6