昨年2月に更新して以来結局また20か月以上日が経ってしまいました。つまり更新が甚だしく滞りがちなのは、そもそもweb編集環境のせいなどではなかった、ということですな。このままだと2017年みたいにまた何も書かなかったということになってしまうので、さすがに気が咎めます。ということで、見苦しく滑り込みで書いておくことにしました。2019年の近況というか、まあ年況、ですか。
オーディオ的な変化といえば、まず春頃に中音ホーンを替えました。それまで使っていたS-400から、少し小ぶりのS-500に。型番はカットオフ周波数ですが、低音とのクロス周波数は今までと同じ1kHz近辺のままです。ホーンが若干コンパクトになったので、中高ユニットの位置を少し前進させ、音源面位置をよりウーファーに近づけることができました。が、位相がより揃ってきたというほどの印象はありません。このあたり、中高ユニットの位置関係ほどには敏感ではないようです。音色はほんの少し明るくなって音離れが良くなった印象です。ホーンが小さくなったのが初め少し寂しい気もしましたが、すぐ慣れてしまいました。見た目のバランスは悪くないのではないかと。
そして、夏の終わりにヘッドアンプLIRICOを導入しました。LEGGIEROでMCカートリッジを使って十分いい音でレコードを聴くことが出来ているのだから、今更ヘッドアンプは不要だろうと思っていたのですが、バッテリー電源のヘッドアンプの威力が思いのほか強力だということらしかったので、思い切って買ってみたところ大正解でした。LIRICO+LEGGIERO(MM入力)の音は、繊細でデリケートな表情をよく伝えてくれるということでは言葉にしたら同じになってしまいますが、音楽の浸透力というか訴求力が数段アップした感じです。
回路的には、LEGGIEROのMC入力使用時の「V-I-V方式」という他に類を見ないユニークな形式から、「ヘッドアンプ+MMフォノアンプ」という特に珍しくもない構成になってしまった訳なので、この辺は物語的にはあまり面白くはないのですが、まあ出てくる音のほうが大事ですからね。
あとは、新規導入のアクセサリー的なもの。いくつかあるのですが、すぐ思いつくものを2点挙げると、まずいにしえの“電子式”針圧計、テクニクスSH-50P1。現行品だった当時私はまだ中学生くらいで、これはすごく高価でハイテク(当時そんな言葉はなかったけど)な高級品で、自分にはおよそ縁のないものに思えていました。でも今なら買える(笑)。
で、今実際に手にしてみると、ハハハ、かつての憧れは幻想であったか。そんな高級感は、ないですね。VinylEngineでサービスマニュアルがダウンロードできますが、それを見ると中身は針圧によるひずみゲージの抵抗値変化を電圧として検出しアンプで増幅してメーターを動かすという(だけの)ものです。「電子式」の実態はかくもアナログなものであったか。
計測アンプは単純なトランジスタ2石の差動アンプで、気温によって動作点が変わってしまうため、使うときは都度付属の校正用ウエイトを使って校正する必要があります。一旦合わせても動作点はドリフトするので、針圧を測った後に校正用ウエイトの1.5gを載せて確認してみるとまたちょっとずれていたり。校正と測定を数回繰り返さないと納得できません。中華製のかなり正確なデジタル針圧計が安価に手に入る現代の視点からは、これだと商品として成立しないでしょうね。しかし液晶の数字で合わせるよりも、確かに面倒ではありますがこの見やすいアナログメーターを読むほうが、いじっている気分としては楽しい、ような気がします。
あと気になったところとしては、スタイラスチップを受ける皿の縁が環状の切り立った壁になっていて、測っている最中に位置がずれたりしたら、この縁にチップをひっかけて飛ばしてしまいそうです。
なので、マスキングテープをこの縁の円環サイズに合わせて切って貼りつけてトランポリン状(トランポリンのように弾みはしない)にしてみました。これで針を置くときの心配がだいぶ減ります。
もうひとつは、いちばん最近やってきた、レコード盤の静電気除去器NON-STAT。
たまに静電気で盤面にホコリが纏わり付いて落ちないレコードがあります。新しい製盤のものに特に多いように思いますが、普段使っているクリーナーAT-6018ではホコリが取りきれず、そういうレコードをそのままかけるのは気分のよいものではありません。
そんなときに使うものとして、こんなのを昔買ってずっと持っていたのですが、これがこのところちっとも効果を感じられなくなっていました。電源不要でレバーを握るだけで使えるのが便利だったのですが、どうやら寿命は半永久的という訳にはいかないみたいです。
というわけで、ちょうど代わりが欲しいなと思っていたタイミングでフィデリックスから登場したこのNON-STAT、サイトに載ったその日に見てすぐ発注してしまいました。内蔵されている昇圧用のコイルの由来にちょっとした物語があるのも、私としてはいいなと思えるポイントです。使ってみると効果はバッチリ、纏わり付いていたホコリが抵抗なくクリーナーで取れるようになります。006P電池で動作するので、電池さえ換えれば長く使えることでしょう。
他にもレアで貴重な品を入手できたりなどいくつかあったのですが、とりあえず私の2019年のオーディオ事情はこんなところです。あと、そういった買い物系ではなくて、自作系で今取り組んでいることがひとつありまして。目処がついたらまた報告したいと思いますが、難航していますのでどうなることやら。
2019.12