この写真、“DCアンプシリーズ外伝”とされ、シリーズNo.をふられることがなかった金田式300Bシングルパワーアンプである。NFBループ内に出力トランスがあるからDCアンプじゃないものね。しかし、最近の4D32ppアンプ、あれもDCは増幅していないけれど、ちゃんとNo.162という番号が与えられているではありませんか。金田先生、ずいぶんおおらかになってきた?(^^;。 以前は金田氏の電池式8WDCパワーアンプを作って使っていたが、たまにそれより前に作った直熱3極管アンプに繋ぎ替えてみると、タマらしい潤いのある感じがいいなと思えたりした。でも聴き続けているとまた今度はタマの電極の振動のせいなのか、潤いと感じていたのがだんだん余計な響きがつきまとっているような気がしてきて、電池アンプに戻してしまう、そんなことの繰り返し。そのうち、両方の音のいいところを併せ持ったアンプはないものかと思い始める。あれこれ考えて、94年の夏に作ってみたのがこれ。以来うちのメインシステムになった。 実は初め、あの6C33CのDCアンプを考えていた。いちばん初めのモデルである。これならきっとDCアンプの透明感のある音を出してくれるだろうし、タマらしい潤った音も期待できるんではないか、と。 高く付きそうだったけれど、この際思い切って作ろう、と決意したところで、ある店の広告ででたまたま6RR8Cが安く売られているのを見つけ、これは好都合と注文した。ところが店側のミスのせいで結果として3本しか手に入らなかった。安価ではあったが、むしろ電電公社の業務用途以外にはおそらく使われることのないであろう希少球ゆえ、他店で足りないぶんを買いそろえるというあてもなかった。やはりWE404Aを必要数買い直すしかないか、などと考えていたそんなときに金田氏が300Bを使ったアンプの記事をMJに発表したというわけである。 もとより300Bには憧れもあったし、このアンプなら手に入れた6RR8Cが使える。トランス付きのアンプの音が嫌いというわけではないし、まだ他の部品もそんなに調達してもいない。安い中国製の300Bもけっこう使える音のようだし。むしろ6C33Cのヒーター電力と発熱には少々恐れをなしているということもある。
そんなわけで、予定変更の動機は十分以上に揃ってしまったので、金田式300Bシングルパワーアンプを作ることにしたのだった。結果は良好、音は文句ない。以後使い続けて、もう7年が過ぎた(2001年8月現在)。
完全対称型のパワーアンプ群にも興味は大いにあるけれど、いまのところこの300Bアンプの音に不満もなくて、パワーアンプに関してはやや停滞気味である。
金田式300Bシングルパワーアンプ長期レポート
その後の300Bシングルアンプ だらだらモディファイ記
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