雑想つれづれ…

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作者のココロ




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2002のわたくしごと


旧いのがいいわけでは…

 AT634(オーディオテクニカのレコードクリーナー液)がそろそろなくなってきた。我が町のCDショップにスペアの取り寄せを頼めるかと尋ねると、「今じゃテクニカさんとは付き合いがないんですよ、昔はよく来とったんですが」でチョン。片田舎の町にはもうオーディオテクニカの市場はないか。もっともな話ではありますが、寂しいっすねえ…。

 んじゃまとりあえずあれを使うか、そうそう手に入るものではないとはいえ、とっておいても価値が上がるということもなさそうだし、というわけで出てきたのが以前紹介した旧タイプのクリーニング液AT608。容器は違うけれど、たぶん同じようなものだろう。
 古くなってやや黄ばんだパッケージを開けると、なんだか嫌なプラスチックの臭い。この容器、クサい(--;。ちょっと材質に問題ありですな。あるいはこれがモデルチェンジの理由だったのかな。ま、中の液そのものは臭くはないようだし、ま、いいか。
 ということで、使ってみました。そしたらなんと、音が悪くなった! いがらっぽく、滑らかさのないきつい音。だめだこれは〜(--;;。

 どうやらAT608からAT634へのモデルチェンジの理由というのは、容器のきついプラスチック臭なんかではなくて、一番肝心の音にあったのではないかしらん。
 というわけで、やっぱりAT634を取り寄せるしかない。となると、クルマで2時間、我が県の県庁所在地まで出向くより仕方がないのでした。といって、これだけのために出かけるエネルギーはないので、他の用事があるときについでに行ってまいりました。
 行きつけ(もっとも、私は万単位の額の買い物をしたことがないしけた客(^^;)のオーディオ店を覗くと、店主がヒマそうだったので少し話し込む。

 …かつては誰もが1枚のレコードを、大事に大事に(人によって意味は若干異なるだろうけど)、めいっぱい味わってやるぞ、くらいの姿勢で聴いたものだけれど、今の世の中には音楽が溢れている。気に入った曲も次の週には忘れられるほど音楽は次から次へと大量生産。音楽は使い捨てのものになっちゃったんだね。そんな程度のもののために、たいそうなオーディオセットなんか揃えたいとは思わないだろうね。MP3で十分。オーディオが売れなくなるわけだ…

 なんていうような話で、盛り上がったというか盛り下がったというか…。だからこそ俺はレコードを聴くぞ、と決意(?)を新たにして店を後にする私でありました(^^;。



2002.12


円盤蒐集モード(^^;

 コンテンツで紹介の通り、無事球プリが完成。と思う間もなく、ひきつづきせっせと改良に励んでおります(^^;。そしてこのかんレコード収集熱がにわかに高まってしまい、例のネットオークションを覗くことたびたびの今日この頃。

 中にはハズレもあるけれど、思いがけない掘り出しものに出会ったり、たとえば下の写真のような名録音の誉れ高い希少盤がたまたま他の人の目に留まらなかったのか予想外の安値で転がり込んできたこともあったりする。やめられませんねえ、中古レコード漁りは(^^)。


 こうして入手したレコードを聴いて思うのは、一部特定のレーベルに限られるのですが、'50年代〜'70年代中頃までのアナログ録音って本当にいいものだなあということ。真空管とトランスを使った機材がほとんどだったころに、もう既にここまでの情報密度が得られていたのだなあと、今さらながら驚いています。録音のセンスのよさはむしろこの頃のほうが現代よりずっと優れていたのではないでしょうか。

 そんなわけで、ちょっと最近入手したレコードの一部を紹介してみようと思います。


 これはシュヴァルツコップが歌ったシューベルトの歌曲集。仏EMI'53年のプレス、モノラルです。盤もジャケットもピカピカ。(後記:どうも'53年初版というだけで、これ自体はそんな大昔のものではないみたいです、ゴメンナサイ(^^;)
 さすがにレンジは広くはないので、伴奏のピアノは少しくすんだ風情ですが、声の自然さと演奏のよさで感激の一枚でした。これがたったの千円ちょっとというので、たいへん得した気分(^^)。


 録音のよいレコードというと、やはりデッカの名が思い浮かびますね。シューベルトは近年聴くようになったのですが、メータが振った交響曲第3番・第5番のデッカ盤を見つけたので買ってみました。'77年の英デッカです。期待を裏切らない芳醇な音でした。ただ、なぜか最初の写真の'63年「戦争レクイエム」のほうが音も音場もリアルに聞こえます。こちらはやや絵画的。古い時代の機材のほうが優れていた? それともホールの違いから来るのか。でも私のところにある他の'70年代後半のデッカ盤もこれに近いと思うが…。


 こちらもやはりメータで、ホルスト「惑星」2種。左は英デッカの盤です。ただし、オリジナルは'71年で、これは'82年の再発盤。デッカのロゴの下に“viva!”とあるのですが、廉価盤のシリーズ名なのかな。右が日本盤、キングのプレス。'72年出版でジャケットも手の込んだ造りなので、たぶん日本初版だと思います。
 録音はまったく同じですが、やはり聴いてみると違いがありますね。上のシューベルトよりは、「戦争レクイエム」のほうに近似したリアルさが感じられる音ですが、キングの盤のほうがコントラストが鮮やかな印象です。ただし、そのせいなのかどうか、マルチモノっぽい感じも聞こえてきます。楽器の音が拡がって「音の場」を作る、という聞こえ方ではないような。デッカ盤のほうはちょっと軽くなるのだけれど、そういった違和感は少ない。というわけで、どっちがいいのか…困った(^^;。


 マーラーは金田氏の影響下に入る前から愛聴しておりました。DCアンプファンになってから金田氏がマーラーを聴くことを知って嬉しくなりました。
 マーラーの交響曲の演奏で、私のお気に入りはワルターやバーンスタインの指揮によるもの。ただ、彼らのレコードは録音がよいと言えそうなものがあまり多くないようですね。これはワルターがNYフィルを振った2番ですが、CBSソニーから出た新旧2種です。私がレコードを買い始めたころに店頭にあったのが、右の“NEW REMIXED MASTER”というシリーズのものでした。左が最近入手したもっと旧い時代の盤(こちらも“Best100”シリーズという'72頃のたぶん再発盤)。聴き較べてみると、旧いもののほうが「いい音」というレベルではないにせよ自然な感じです。新しいほうの盤は「最新の録音機材」「デジタルマスター」が謳い文句ですが、無理矢理メリハリを付けたみたいな耳障りな音。ちなみに、旧いほうにも謳い文句があって、「西独ノイマン社製カッティングヘッドSX-68」云々と。再発に際してアピールしたんだな(^^;。

 ずっと前には、指揮者が違うからと言って同じ曲のレコードを何種類も買うという人が理解できませんでした。いつしか自分がまさにそうなっちゃっていたわけですが、今や版が違うからと言って同じ録音のレコードを複数買ってしまっているわけで…業ですねえ(^^;。


2002.10


ついに真空管DCプリを作りだす

 暑い夏です。当サイトも開設一周年を迎えました。ご贔屓いただいております皆さまに御礼申し上げますとともに、今後ともよろしくお願い申し上げます〜m(. .)m。

 このところ、汗を拭いつつアンプ作りに精を出しております(^^;。まずは真空管DCプリアンプに着手しました。オールWE球構成のNo.166、ただしモディファイ版。ちびちびモタモタ楽しみながら進行中であります。下の写真は、とっ散らかった机の上にて電源部の調整をしている、の図。音が出るにはもうしばらくかかりそうかな。



2002.08


やや停滞…

 少しばかりの買い物のほかはせいぜいタマの挿し換えやってる程度で、HPのネタになるような話題にはまったく乏しい今日この頃。この近況のページも数ヶ月ほっぽっておりましたが、ようやく変化の兆しが…(?)。
 かねてよりの計画のためのムフフとイヒヒのパーツがそこそこ集まってきました。写真はその一部であります。何をしようとしているのかはお判りですよね(^^;。どうやらようやく取り掛かれそうかな、といったところです。


2002.07


心臓に悪い(--;;

 某所で松下の6267を安価で入手できてしまった。この松下製6267、かの氏家氏が、自身のハイゲイン高帰還ラインプリアンプの2段目飢餓回路に“イチ押し”としたのがこのタマでした(ラジオ技術誌'94.1)。曰く「他を圧して素晴らしい音です。精密な音の彫刻を思わせる浮き彫りになった音像、人の声のリアルさは松下の独壇場」。これを読んだら誰だってねえ…という感じですよね。でもこのタマけっこう高いんだ(^^;。よって、300Bアンプの初段に試してみたいと思いつつも、今まで手つかず。

 さて、届いた実物。マラードやフィリップスのものとよく似た造りに見えますが、なかなかきれいに出来ています。優雅なたたずまいを感じるようなきれいさではありませんが、いかにも日本の工業製品然として、高品質感があります。
 指で管壁をはじいてみると、コーンという感じのいい音がします。音のスペクトルが低めに寄っているような印象。私の感じでは、ウエスタンのタマもそんな傾向であるように思います。これは期待できるかも(^^)。

 タマを換えると動作点も変わるので、アイドリングの再調整が必要になります。場合によっては調整範囲を超えてしまい、半固定VRとシリーズの抵抗を付け替える必要が出てきますが、今回は大丈夫かなあ。おそるおそる電源スイッチを入れ、2分後タイマーリレーがON…

 「ん……、ぎょえぇぇぇぇーーーー!」
 かつて見たことのない恐怖の光景、整流管のプレートがまばゆいばかりに赤く燃えているではないかあ! 再調整どころではない、慌ててスイッチOFF!
 あー、びっくりしたよぉー。やはりちゃんとテストしてから使わなければいけませんね。タイマーリレーと出力管を抜いて再度電源を入れてチェックしてみたら、なんとバイアス電圧がほとんど出てない(・・;;;。ということは、これはこの6267にずいぶん大きな電流が流れ、2段目の404Aのグリッド電圧が下がりすぎてカットオフしてしまっているという意味でしょう、あな恐ろしや。
 以前東欧製のEF86を試したときにはそう大幅な特性の違いはないようだったので、今回も大丈夫だろうとたかをくくって気軽に試してしまったのですが、やはり直結アンプでズボラはいけません(反省)。
 幸いにして300BもCV717もダメージはなかったようで、その後も何事もなくよい音を聞かせてくれています、ああよかった(^^;。

 あとで聞いた話によると、松下の6267は100V程度以下で使うのが望ましいという説があるらしい。また聞きの話なのでどういう理由かはっきりしませんが。もし本当なら、金田300Bアンプだと160Vくらいかかっているから、あまりよくないかも。でも氏家プリでは200Vかけているんだから、だったらそう問題はないと思うけど…。いずれ初段の負荷抵抗を小さめにして再度試してみましょう、気持ちが落ち着いたら(^^;。


2002.03


コンデンサーカートリッヂの逆襲(^^;

 地方に住んでいると、なかなかビニール盤を入手するチャンスがないのですが、インターネットを利用するようになったおかげで、これまでは出会うことなどかなわなかった盤に巡り合えるようになりました。少しずつ、昔買いそこねた盤とか新発見した演奏家の盤を買い集めています。最近いっそうLPの比重が大きくなっている感じです。
 そんな折り、金田No.166プリの“もどき”アンプのアイディアが浮かんで、これはひとつ作ってみんべかと、基板タイプのMT7,9pin用ソケットを探したら、海外のサイトにCHINCH製で格好も品質もよさそうなものを発見。こういうとき、ますますインターネットをやってよかったと思いますね(^^)。さっそく発注して、翌週にはもう届きました。頼みもしないのに速達便で来たもんだから、送料がむやみに高かったけど(^^;。
 届いたソケットを手にして眺めつつ、さあて、次はタマを発注しなければ、と構えていたのですが、そういうときに限って邪魔(?)が入るんですな。なんとネットオークションでSTAXのエレクトレットコンデンサーカートリッジCP-Yを発見! 当サイトをまんべんなくご覧になっている方は既にご存知の通り、私はちょっとDCな人ではあるのですが、それ以前にややコンデンサーな人なのでもありまして、STAXのコンデンサーカートリッジが出現したりしてはじっとしているわけにはいかない、即落札してしまいました(^^;。

 私がCP-Xを使っていたころ、CP-Yはtype2として現役商品でありました。そのころに手を出さなかった理由は、CP-Xと異なりエレクトレット型であったこと。なんだか市場に妥協した形式に思えたのですね。私としてはRF変調型で出して欲しかった。そして、交換針がCP-Xのものよりも高かった。これはシミッタレとしては重大なことです。しかも本体も途中で値上がりして、EQアンプとセットで10万円近い値段になってしまいました。今その程度で新品が出ていれば間違いなく買うと思うけれど、昔はずっと貧しかったし、オーディオにかけるコスト意識も今とはだいぶ違っていたからなあ(^^;。

 入手したのはカートリッジ(と交換針)だけなので、音を出すには専用の特殊なEQアンプを自作せねばなりません。エレクトレット型は、カートリッジへ電源を供給する必要があったり、片chのみ位相を反転させなければならなかったりするのが難点なのですが、今これらをどうするか思案中。
 そんなわけでアナログに関しては、注意がすっかりこちらに向いてしまい、No.166(風)アンプ計画はパーツ集めが始まったとたんに停滞を余儀なくされております…って、他にも停滞しっぱなしの計画がいくつもあるんだった(爆)。

2002.02


新・古代への情熱

 私の町のレコード屋さん(今は“CDショップ”だが(^^;)、年配の夫婦で、古くからやっている店なのですが、ずいぶん古いものを置いています。というか、売れ残りを整理しない。いいですねえ、こういうの。目まぐるしく変わる世の中で、ここはけっこう時間がゆっくり流れている。ま、一応最新のCD検索システムなんかも置いてはあるんです。で、私はというと、主にここで数年前に700円くらいだったカセットテープが100円未満で売られているのを買いに行く、といったお付き合いです。つまり、しけた客(^^;。

 ここではガラスのショウケースをレジのカウンター代わりに使っているのですが、しばらく前から、買い物をする度に、このケースの中に売れ残ったまま飾られているディスクマンに目が行っていました。製品付属の標準定価\49,800の値札が貼ったままです。もともとこういう電気製品はあまり置いていないし、それほど安くも売っていない店なので、いったいいくらで売るつもりか見当はつきません。どうしたものかと思っていましたが、やっぱりちょっと欲しい気がするので、思い切って聞いてみました。
 「あ、これ買う? 1万円でいいですよ」。
 おっ、ラッキー♪。

 というわけで、即、買ってきちゃいました。これで“物好きな客”になったな(^^;。

 そのDiscmanですが、D-150というモデルです。このモデルについての正確な知識はなかったので、インターネットで検索して調べてみました。でもWalkmanを紹介したサイトはあるのに、Discmanのサイトは見つからなかった。やっぱりデジタル、思い入れの対象にはなりにくいということかな?
 記憶をたどってみると、たしかDiscmanがそれまでとはかなり薄型に変わったときがあったと思いますが、その最初のやつがこれなんじゃないかな? 詳しい人がいたら教えて欲しいところです。たぶんDACはまだマルチビットタイプが載っているのでしょう。

 説明書を読むと、専用のニッカド電池で可能な連続再生時間はたったの2時間、標準では乾電池は使えない、プログラムやレジュームの機能はなし、デジタル出力も無し、リモコンはおろかイヤホンも付いてない…この頃はそういえば別売りで2〜3千円してたっけ。うーむ、やっぱり昔のキカイですな。ああ、ありました、説明書に印刷年が入っているぞ、「1987 Printed in Japan 」…今年は2002年だが…。


時代を感じさせる箱のデザイン(^^;

 うーん、かようなモデルが“new old stock”で手に入るなど、日本広しと言えどもそうそうないことなのではないかな。やっぱり得したのかな(^^;。
 実際手にしてみると、離れて見ていたときより造りが安っぽい感じを受けます。もっと後に出たD-303を持っているのですが、それよりも薄くて軽い。定価がもっと安いD-303のほうがスペックでも造りでも立派なのは、やはりその間にそれなりの“進歩”があったということなんでしょうな。

 さて、肝心の音のほうはどんなものか、さっそく聴いてみましたよ。もちろん付属のバッテリーが生きているはずもなく、ACアダプタで動作させます。
 ちゃんと動くのか? ああ、動いた動いた。CDが回転する様子が、なんだかはかなげですな。ヨロヨロと回りだす感じ。ん、ボリウムにガリが…と、これは数回つまみを動かしたら治った。
 ♪〜うん、悪くないんじゃ? 1bitDACのD-303と較べると、中高域は同レベルですが、低域はこっちのほうがずっと弾む感じがしますよ。またも旧型のほうが音がヨイ。楽しいじゃありませんか(^^)。ちょっと揺らしたら、すぐ音が途切れる。トラッキングのサーボが弱いんでしょうね。これじゃポータブルと言っても、動き回りながらでは聞けない。でも据置で使うならこういうののほうが音がよさそう。


 これはその同じお店で掘り出してきたオーディオテクニカのレコードクリーナー液AT608。黄ばんだパッケージにあるのはすべて英語。これって国内用?
 これもだいぶ前のものだったと思うけれど、現行品のAT634とは中身は違うのでしょうか。ボトルは形が同じだけれど、こちらは赤いし。しかし、同じであったにしても相当古そうなので、はたして今使っても大丈夫なのかどうか。
 あるいは、こういう製品がかつてあったのに、なぜ新たに別の型番の製品を出す必要があったのか。もしや、なにか問題でも?

 「ちょっと古いもの」はなんとなく好きなので、深く考えずに買ってみたものの、実際使うのに躊躇してしまう…われながら、何やってんだか(爆)。


2002.01