3.自殺
人が死にたくなる理由は幾つもあります。
細かく言えば、まさに自殺する人全員に、それぞれの理由があるのだと思います。
ですが、大ざっぱに分ければ、やはり一番多いのは、十代の場合は失恋や受験の失敗、そして、いじめではないでしょうか。
詳しいことは統計を調べないと分かりませんが、少なくともこれらは代表的な自殺の理由だと思われます。
これが、大人になると随分と様変わりします。
大人の場合は、借金苦や失業といった金銭に絡む問題が増えるように思われます。
十代の頃は友達との関係、家族との対立といった精神的な悩みが大きかったのに対し、成人するといつしか、それらは自殺するほどの悩みではなくなって行き、金銭面の問題の方が大きなものとなってくるのでしょう。
これは、単に大人が精神面を軽視するようになったとか、もう純粋ではなくなったとかいうことではなく、やはり、十代の時には無関係であった、会社の経営とか、家族を養うとかいった、生きることに直接関わる苦しみが新しく起きてきたのだと言えます。
この面を、私達は見逃してはいけないと思います。
さて、自殺することが悪いことかどうかはともかくとして、自殺しないで済むためにはどうしたら良いのでしょうか。
私達は人には偉そうなことを言えます。ですが、悩んでいる当事者の立場になったら、やはり同じように苦しむだけなのではないでしょうか。
それを考えると、問題を解決するためには、たとえ、それが根本的な助けにはならなかったとしても、人々の悩みを聞いてくれるような公的な機関があれば、救われる方が大勢いらっしゃると思います。
子供達の悩みを電話で聞いてくれるという広告をよく目にします。ですが、大人の場合はどこに悩みを持って行きようもないのが現実なのではないでしょうか。また、十代の人達の場合にしても、公的機関の対応は必ずしも充分に機能してはいないようです。
たとえば、先日の某新聞の読者欄には、十代の男子が○○電話に電話したら、すぐに住所氏名を聞かれたので、電話を切ってしまったという話が載っていました。
誰だか分かると言いにくい事もたくさんあるのではないでしょうか。
そうした意味では、もっともっと、誰もが悩みを持ち込みやすいシステムが社会全体にあれば良いと思うのでした。