4丁目

1番地



 お葬式はなくてはならない行事として、日本中どこへ行っても毎日行なわれています。ですが、本当に価値があるのでしょうか。

 ある時こんな事があったようです。

 誰かのお葬式の時の事です。近所の人達がお葬式の手伝いに行きました。その地域ではこれまでは地元のお寺か故人の家で葬儀をしていたらしく、大勢の人手が必要で、近所の人の手伝いは、いわば常識なのでした。

 ところが、最近では比較的近くに葬儀等を専門的に行なう施設ができたらしく、近所の手伝いもあまりいらなくなったのでした。

 そうした中、近所の人達は暇だったらしく、盛んに葬式の参列者の噂話をして、故人の生前の社会人としての力量を語るのでした。その時、手伝いに来ていたうちの1人が、ぽつりとこう言われたそうです。

 「うちの時は、力がないから、手伝いは断わりたいなあ…。」

 私はその話を聞いて思いました。

 盛大なお葬式をする家ばかりはありません。近所でランクづけされるよりも、いっそ、別の形のお葬式にした方が良いのでは…。

 と考えながらも、やはり、しきたりの重さに考えを変えるのでした。

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