3丁目


2番地





 道徳は社会に生きる限りはどうしても必要だと思います。

 人を殺していけないとか、他人の物を取らないとかいった基本的なことは、社会全体の了解事項でないと、誰も幸せに生きることはできません。ですが、この道徳というのも、人によっていろいろと考え方があるようです。テレビでも、どちらが道徳的なのかで議論する番組もあるようです。

 ということは、道徳と一言いっても、それぞれに考え方が違うわけですから、こんな時どうしたらいいの?、というような事が頻繁に起きるという事になると思います。

 ある時、こんな事がありました。ある小学校でのことです。ある先生は一年生の子供達に対して、誰かが忘れ物をした時は、他の人は貸したりしないようにと教えたそうです。その話を聞いた私は、理由はおそらく、まだ一年生の場合は、きちんと時間割りをして忘れ物をしないで学校に行く、ということが一つの立派な教育目標だからだろうと思っていました。

 ところが、しばらくしてその学校で授業参観日があり、道徳の授業があったそうです。その時に、同じ先生が教科書にしたがって、生徒達にこう言われたそうです。 

 「他の人が何かなくしたり、忘れたりして困っている時には、貸してあげることが善い事です。」と。

 それを聞いたあるお母さんは、「いつもと反対の事を言っている、これじゃあ、子供が混乱する。」と首をかしげたそうです。

 道徳って難しい、私は思わず苦笑いしてしまいました。


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