春かすみ

  

 春は、意外と晴天の続くことが多い。そのため、だんだん東にずれていく月の動きや三日月・上弦・満月と変わっていく月齢変化、あるいは、星座の中をさまよう惑星を見ることには適している。しかし‥星空を眺めるには少々物足りない季節である。春は、黄砂やかすみがかかることも多く、晴れていても星はあまりまたたかずボテッとしている。星同様、月もその輪郭がはっきりとしていない。
 山に登れば、下界よりも空気は澄んでいるが、それでも雨の降った直後でない限り、澄みきった星空にはほど遠い。
 空が澄んでいると地平線上まで星が見えるのだが、雲かかすみだかわからない天気だと地面の高さがわからなくなってしまう。それに加え、春の星たちも華々しい星はない。ちょうど夕方に冬の星座とともに天の川も沈んでしまい、夜半ころにならなければにぎやかな夏の星たちも昇ってこない。
 そういうわけで春は、やんわりとあたりを照らしてくれるおぼろ月が一番似合うのかもしれない。 

自然との語らい

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