モンブラン単独登行記録(2003.9/12.13 )
   
自分の足で行かれる高い場所を求めてモンブラン登行を目指した。しかし2003夏.欧州は軒並み記録的な猛暑によりマッターホルンのみならずモンブランも事実上の登山禁止勧告となっていることが出発の約10日前に判明した。(仏国は自主性を重んじるとかで表だって禁止とはしないそうな)でも途中のグーテ小屋も閉め、地元のガイド登山も中止となっているので急遽替わりの4000m峰がないかと思案にくれていたが、9/6シャモニー入りするとちょうど3日前から小屋は再開していた。滞在1週間の期間に登頂を目指すべく準備を進めた。
 
<行程要約>
9/12 
 シャモニー(バス7:00発) ベルビュー(7:30着 8:10始発) 登山電車(8:40発)
 ニ・デーグル(9:00着) 
 9:10出発   テート・ルース小屋下 11:40  グーテ小屋14:30

9/13 
 グーテ小屋 (起床3:00 朝食3:30 出発3:50)  ヴァロ小屋下 7:00 
 モンブラン山頂(9:00着 9:20発) グーテ小屋横(11:10着 11:30発)
ニ・デーグル(14:00着15:35発)ベルビュー(16:00着 バス待 17:35発)シャモニー18:00着

<山行概要> 
9/12 
シャモニー始発のバスには自分だけ、前日シャモニーのインフォメーションで小屋の予約をお願いした際の予約状況では予約は一杯と聞いていたが、シャモニー以外からなのか? 車内から朝焼けのモンブランを見ながら、少々不安になる。
ベルビューのロープウェイの始発は8時 入り口前でザックに腰掛け待っていると従業員が集まりだす。8時近くになってようやくガイド登山の面々も集まってくる。3組7人 ガイドされる者は、いかにも初心者っぽい。一方ガイドは年季の入ったピッケルを無造作に持っている。自分は霜の降りた場所で待っていたので着込んでいたが、結構薄着である。20代後半から50位か 登山電車はほぼ満席となってニ・デーグルに到着 登山者は結局50人くらいか てんでに周辺で立小便をしている。トイレは無いようだ。ゴミも適度に落ちているので環境意識は日本より劣る気がする。

列車からおりた集団の後よりから歩き出す。カールにつけられた石場の多いトレールを黙々と進む
Les Rognesに出たところで平坦となり適時休憩している。2800mを越えた北斜面からは積雪が見えだし念のため早めにアイゼンをつける。小さい尾根を右に越えると再び平坦地となりテート・ルース小屋が見える。好物のアップルパイを食べ昼食 天気は快晴。この先のグラン・クロワールの状態が気になり早めに立つ。小屋に立ち寄っているパーティも居るためか大分集団もバラけている。
平坦地を詰め右に巻けばグラン・クロワールのトラバース地点 なるほど谷地形で上部からの落石が集まってくるかんじ。とはいえ区間は約20m(+20mは集石面積は狭い) 上を見て一気に抜ければ何のことはない。ワイヤーが渡してあり適宜確保?しているパーティも居るが考え方の違いなのか(代えって抵抗が増して効率が悪いと思うが)また3.4人アンザイレンしてゆっくり?通過しているのを見ると何か変な感じ(3日前も遭難したそうな)確かに見ていて 時折,小拳の石が飛んでくる。例年100人ほど当たるのもうなずける。

この先グーテ小屋までは岩稜の登り 不安定な岩も少なく割合割れ目もあるので難なく高度を稼げる。体力任せの現地人達は、こんな場所は苦手なのか手間取っている。随所に手摺りやワイヤーが張っているが皆頼りっぱなしで掴んでいる。あー怖 この登りで4パーティ追い越しグーテ小屋到着

グーテ小屋 標高3817m
1泊2食付 43ユーロ(約5500円 カード可)
日本の山小屋よりも安い 中身は日本と同等(と思う) 定員100人 始め空いていると思いきや後の電車でも同様の人数が登ってきたらしく人が次第に溢れてきた。食堂がたまり場になっているのはどこも変わらないが、ほとんどが仏語のためノイズでしかない。割り当てられた幅60cmのベットで仮眠する。食事も2交代制 メニューは、始めにスープ なんと「ご飯」 おかずはソーセージと豚の角煮 おかわりも可能である。デザートはカスタードプリンもどき ご飯以外どれもおいしかった。現地人に負けないくらい食欲もあったので、どうにか高度障害には大丈夫ぽい。
おなじテーブルで「日本人か」「ひとりなのか」「大丈夫?」などと声をかけられ少々うれしかった。
小屋は欧州人ばかり(小屋再開の情報は仏国外にそれほど広まっていないのかも) 表示も仏語 伊語 少し英語 こんな状況にいるのも貴重な体験だろう テーブル8人に3本のペットボトル置かれ適宜食事中飲むのだが、残ったボトルは持っていけるらしい。幸い自分の近くに1本取り残され(まだ8割残)ありがたくベットに持ち帰る。
食事後 ようやく夕暮れ(日没は19:35)あいにくうすぐも広がり星空は望めそうにない。見飽きた幻日がうらめしい。2回転目の食事がおわると皆 就寝の準備。隣の仏人は少し英語ができるらしく話しかけてくる。「東京から来たのか?」いやトヤマだ!と言っても理解していなかった。念のためシュラフカバーを持ってきたので毛布の下に入れるが次第に暑くなってきたので、結局シュラフカバー1枚がちょうどよかった。

9/13
起床時間は3時(9月からか?) 朝食は3時半から早い者勝ちに配膳窓口に顔を出し予めグループ毎に用意したあるお盆を受け取る。東洋人は自分だけなので名乗らなくとも小屋のお兄さんは紅茶(コーヒー選択可)とオレンジジュースを注いで出してくれる。パン2切 ラスクにプルーンの小袋パンにジャムを沢山つけ 紅茶に砂糖3つ放り込みテルモスに注ぐ 5分で済ませ身支度を始める
昨日より1枚余計に着込み外に出る。月はまだ高いが薄雲は少々厚めでおぼろぎみ。近く遠くあちこちに街明かりが見える。西北の明るいのはジュネーブのようだ

風は弱くさほど寒くない。単独なので小屋からは早めに出発できた。月明かりもあるが、先行パーティの明かりも見えるので黙々とトレースをたどる。見上げるとオリオンも随分昇ってきている。朝焼けの方向に登っていくので朝焼けの地平線が見られないのが残念。
ドーム・デュ・グーテを北面から巻く 今年の雪の状態はやはり例年と違うらしい
現地人達は早い。無理して付いていこうとすると逆効果ですぐ息きれてしまう。自分のペースで淡々と進める。現地人は何せ荷物が無い。小さいデイパのみがほとんど ガイド登山が1/3 その他は数人のパーティで単独は数人のようであった。自分のようにピッケルで1歩ずつ歩行する者は少なく、4人アンゼイレンしたままダブルストックでそのまま進んでいるパーティが多い。ここ3日お天気だったので、風下ではトレースはしっかり付いているが、風当たりの雪面はトレースが薄い。ただし硬結クラストするほど固い箇所はなくアイゼンの利きは十分な斜面がつづく。
バロの避難小屋を過ぎる頃、飛ばされるほどの風ではないが、飛んでくる氷粒が顔に当たって痛いので目出帽とゴーグルをつける。北東方向の空が染まってくる。いつの間にかミディもはるか見下ろす高度になっている。1歩1歩が未知の世界休憩時は甘い紅茶が効果てきめん。すぐに血流に変わる気がする。
グランド・ボスを左に巻き プチト・ボスを右に巻く 風下では風もなく穏やか。とても4500m以上あると思えない。既に昇っている太陽はモンブランで隠れて見えずの左側の幻日だけが見える。
最後の山頂までは、だらだらと思ったより長い。途中バテている3パーティを追い越し山頂へ。

マッターホルンや遠くユングフラウのベルナー・オーバーラントの山群も見通せる。GPSで位置を確認してカメラを取り出すが、mamiya7のシャッターが動かない。電池はリチウムの新品なので原因はレンズシャッターか 登頂の気分も半減してあたふたとデジカメで数枚すませる。デジカメは懐に入れていたので電池も元気。自分自身もまだ余裕がありそう。
モンブランは、モンブラン山群でも西端に位置するので東方以外顕著な山が無い。登行ルート中もそうだが展望には向かない山である。相前後して登頂したパーティはそそくさと下山して、こちらは少々物足りなさも感じつつ山頂滞在20分で下降開始 高曇の雲は幾分薄くなったよう 今日も終日お天気はもちそうである。雪の状態はかわりなくアイゼンの利きも良い
プチト・ボスの無風帯で一息。山頂を振り返る。あっけなく降りてきた。ひょっとして13時台の電車に間に合うかと思いつつグーテ小屋までは早めにひたすら下る。しかし計画出発時間の遅れ(50分)は取り返すことはできず、小屋上部で昼食。
岩稜帯の下降は予想通り現地人の渋滞。特に仏女性は譲ろうとしない。狭部で登行者が居ても構わず、へたくそに降りて余計に滞らせている。
グラン・クロワールの通過も慎重に済ませ嫌いな無積雪帯の下りへ。Les Rognesの日溜まりで大休止。ここまでくるとハイカーの領域で土曜のためか家族ずれなど多い。あいさつの「ボンジュール」と道を空けてもらって「メルシィ」はここでの定番 
  

 
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