朝 焼 け 

 ふと気が付くと、満天だった星たちが少し減ってきている。
 東の空がほんのり明るくなっている。東から次第に西の空へ、空が音もなく空の中へ吸い込まれていく。東の空が白み始めてから吸い込まれる星の消滅は、意外と早い。 
 天の川も消えかかるころ、東の地平線から色付いたオレンジ色は、北から南へ180度を超え、地平線を染めている。一等星がようやく見えるくらいの明るさになれば、吹く風がやけに重く感じられる。これと同時に、呼び起こされるかのように地上の山並みも目を覚ます。眼下にはいつの間にか雲海が広がり、谷間を埋め、山の頂だけが浮かんでいる。
 ああここは地球なのだ。星の世界から地球の世界ヘ移行する瞬間である。この地球も宇宙の一端だったのだと。
 やがて星が消え去り、いよいよ空が七色に移り変わっていく。朝焼けの臨場感は何と言っても高山である。高い山ほど遠くまで見渡せ、空も広い。空気も澄んでいるため、微妙な色の変化に浸ることができる。
 この地球で一番美しい時、それは一晩中夜を満喫した後の朝焼けなのである。
 

自然との語らい

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