1丁目

7番地

サンタクロース




 小さい子供達は、クリスマスになるとサンタクロースが来ると信じています。

そのため、子供達はサンタさんがどこから家に入ってくるのかと心配したりもします。煙突がある家はともかくとして、玄関に鍵が掛かっている家の場合は、真剣に心配する子供もいるそうです。

 やがて、子供が大きくなると、今度はサンタがいるのか、いないのかで悩む事になります。友達の中に、サンタはいないと言う子と、いると言う子が出てくるからで、こうなると、子供同士で議論になったりもするようです。

 やがて更に大きくなると、子供はサンタになど何の関心も示さなくなっています。

 子供の成長、それは、おとぎ話との決裂を意味しているのかもしれません。

 そんな時、親達は一つのことを知るのでした。子供がいつの間にか親に意見したり、子供なりの考えを主張したりして、ただこうしろ、ああしろと言っても、なかなか聞かなくなっているという事を。

 子供達にとって、サンタクロースは単なるおとぎ話ではなく、実在の人間でした。それが非実在に変化する時、大人達はもっときちんとした説明をすべきだったのではないでしょうか。それまで正しいと信じていた事を否定される時、人間の心は傷つき苦しむのではないでしょうか。

 そのうち自然に分かる、そう言って放って置いたつけが、思春期になると回って来るような、そんな気がするのでした。

 サンタクロースが実在するとテレビなどで言わなければ、大人は嘘をつく必要がなかったのではないでしょうか。

 ウルトラマンならば、作り物だと自然に理解できます。それは、どう考えてもあんなに大きな怪獣は世の中にいないと思えるからでしょう。

 ところが、サンタクロースはそうは行きません。ちゃんとプレゼントを持ってきてくれます。ウルトラマンは興味の対象の変化と共にどうでもよくなって行きます。それに比べ、サンタクロースは、どんな家庭にも毎年やって来ます。親達は我が子だけをプレゼントのない子供には出来ません。サンタクロース、それは、もしかしたら子供の成長にとって、もっと大きな問題なのではないでしょうか。

  

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