5.神秘思想は正しい? (01.07.06)

     世の中にある神秘思想は正しいと思いますか。

 神秘思想にもよります。

 ですが、神秘思想も霊魂からの通信と同様で、信じるに足るものはあまり見られません。

 いわゆる霊感のように、特に神秘哲学を学んだわけでもない人が霊感を受け、インスピレーションによって築かれた神秘哲学の場合は、僅かながらも信憑性がありえます。ところが、古代からあった様々な神秘哲学を学んだ人の場合は、それらの哲学がいっぱい詰まった脳が霊感を受け取るために、本物の霊感であっても、脳に詰まった知識の上に思想が築かれてしまい、結局は、頭の中にあった知識に沿ったような思想を受け継いできているのではないかと思われます。

 心霊研究から登場した霊媒にも同様の事が言えます。誰かが、その当時の人達を感心させるような霊的思想を発表すると、それに影響されて、その思想と同じような考えを霊魂から得たと言う人が出るのです。

 逆に、こうした事を見た人達は、共通する複数の思想が登場しているので、それが真理である、と勘違いすることがあります。

 ですが、実際には、それはすでにあった知識の影響の結果と考えた方が正しいと思えます。少なくとも、それをもって、真理と独断する事は無理があるでしょう。

 また、神秘思想は一般に、意識が高度に成長することで、自身の霊的成長と高次元的な思想の会得がもたらされると考えています。
 その事自体は良いのでしょうが、高度な神秘思想を学んだ人達の中には、自称霊媒の方と同じように、高度な霊感や高度な神秘体験をしたと思い込んで、そのまま有名になったのではないかと思われるような人もいらっしゃいます。

 もとより、頭の中には難しい哲学が山のように詰まっていますので、一般の人にはその人の霊的な価値がまるで分からないのです。何も知らない人はそのまま立派な神秘家だと錯覚してしまうことでしょう。ですが、霊魂を探求する立場から見ますと、少なくとも霊的には成長していないことがはっきり分かる人がいらっしゃるのです。

 たとえば、古代からの多数の神秘哲学を学んで、いろいろと神秘的な論文を書いていらっしゃるのですが、それが本当にご自分の霊感や霊的感性で知り得た事ならば、こんな簡単な事が分からないはずはない、と思える事が多いのです。

 たとえば、大変高貴な事柄について語っていらっしゃるのに、霊魂に対する初歩的な知識がまるでない、といったような方もいらっしゃいます。   これでは、神秘を極める前に、どなたも、悪い霊魂に憑依されてしまいます。高貴な霊的存在がそれを指摘しない事は有り得ません。

 そうなると、確かに中には、霊的に高い存在の援助を受けて成り立った神秘学もあると思えます。しかしながら、多数はそうではありません。

 すでに亡くなった方の価値は、残された論文で判断するしかありません。その場合、霊的に高度な学問を学んでいる人以外は霊魂に関する知識をお持ちでないでしょうから、論文の価値は、その思想の高低で判断するしかできないことになります。ですが、思想の高低は、すでに述べましたように、著者が霊的に高級でなくても、論文の中に霊的な知識が詰め込まれていれば、一般の人々にはそれが高度な思想のように見えてしまいます。

 普通の人はまず、それらの神秘家の霊的なレベルを知るということは出来ないでしょう。そのため、思想が、一見、高級でも、意識の低い霊魂に干渉されるような神秘体系に熱中してしまうような人が出てしまいます。

 結局、一部には高級な霊的存在の指導を得た神秘家も確かにいらっしゃったと思うのですが、その判定が出来にくい状況であれば、これからの時代には新しいものが必要だと言えるでしょう。私は、もちろん、それを霊魂学に求めています。