2.宗教や神秘思想は一体どれが正しいのですか II (01.06.24)
宗教や神秘思想の説く、死後の世界や神秘的な教学はどの程度正しいのでしょうか。
これは大変重要な問題と言えます。これが間違っていると、それを前提にした思想は心の慰めにはなっても、本来は間違っているということにもなりかねません。
そこで、どうしても必要なのは、客観的な分析です。これができれば、人は正しい宗教を知ることができるのです。ところが、現実は簡単ではありません。残念なことに、死後の世界を初めとする神秘的な事柄は、いまだに科学では証明されていないのです。ですから、私たちは各宗教がそれぞれに自説を主張しているのを聞くだけで、それを鵜呑みにするか、あるいは否定するかしかなく、正確な分析ができないのです。
そんな状況ですので、世界中に山のように宗教があり、それらがそれぞれに自分が正しいと言っていても、それで成り立っているのです。だからこそ、宗教家同士がどんなに激論をしても、いまだにどれが一番正しいとも結論は出ないのです。何しろ、それを証明する客観的で合理的な手段がなく、いつも主観的な議論に終わってしまうのです。
どんなに自分の教団が立派で自分に奇跡が起こったと言い張っても、他の教団でも似たような主張はあります。そのため、議論は常に対立ばかりを生んでいます。
では、そうした神秘を解明することは、本当にできないのでしょうか。もちろん、解明しようと試みた人は大勢います。心霊研究というものが起こり、ここ百数十年の間に、科学者達が、いわゆる霊媒という、霊魂が人間にかかって話したり、何か不思議な現象を起こすという人を使うことによって、死後の世界等について真面目に研究なさったのです。
ところが、やはり、現実は厳しいものでした。霊媒になる人も、しょせん人間です。トリックを使う可能性がありますし、人には調子の良い日と悪い日があって、いつでもうまく行くとは限らないのでした。その上、一人の霊媒に起こったことがそっくりそのまま、別の霊媒に起こるとは限らないのです。そのために、なかなか霊魂の存在を立証できませんし、そのような状況のもとで霊媒から得られた通信内容は、果たしてどこまで信憑性があるのか分からないのでした。
そのために、どれだけやっても結局、いつも結論までは至らないのでした。
たとえば、神智学という神秘的な学問で有名な、ブラヴァツキーという女性は、心霊実験において、科学者によって、インチキであると指摘されたということです。そのため、それ以降、彼女は心霊研究に嫌悪感を持つようになった、という話を聞いています。
実際に、本物であったのかどうかは、その場にいない者にはどう言うこともできません。ですが、もしも、ちょっとしたミスや、学者の誤った判断であったとすれば、その後、霊媒実験に協力しようと思えるわけがありません。他の霊媒にしても、自分もそんな風に言われて社会的な信用がなくなると思えば、なかなか協力してくれる霊媒は生まれません。
ですから、結局、神秘的な事柄は、客観的な立証ができないのです。
そうなると、やはり、宗教や神秘思想の正しさを本当に指摘することは難しい、という他ないのです。